”の検索結果
再検索

明日をHAPPYにするコトバ

【第6回】ドキドキの出逢いを楽しみたいとき

ひとつの出逢いが、とんでもなく遠くに連れて行ってくれることがある。
だから、ご機嫌なキモチで、ひとつひとつの出逢いを歓迎する。
「あのときがターニングポイントだった」と気づくのは、ずっとあとになってからだから。

あのときは、外国を旅する船での偶然の出逢い。
60代の紳士と少し会話して、連絡先を交わした、たったそれだけのこと。
それから数年間、なんとなく近況報告の連絡を取り合っていた。そうするうちに、一緒に仕事をすることになりました。
その方は出版社の社長で、私に「一冊の本を書く」という、とんでもなく大きなチャンスを与えてくれたのです。
出逢ったときは、そんな未来があるなんて、まったく想像すらしていませんでした。ただ、「この人からは学ぶことがたくさんある」と直感的に思っていたのです。

あのときは、ギリシャで暮らしていたころのインターネット上での出逢い。
海外でできる仕事がなかったことから、海外在住のライターたちが情報交換するサイトを見つけ、その管理人に「仲間に入れてください」とメールを送ってみたのです。
それがきっかけで、アメリカで暮らすその女性や、ライター仲間とのご縁から、台湾政府の仕事が舞い込み、そののち、台湾留学、台湾の大学で教えることにつながっていったのでした。
たった一本のメールから、こんな展開になるとは思いもしませんでした。
ただ、海外で暮らす人たちとの交流は、孤独を共有し、私を励ましてくれる場でもあったのです。

「あのときがターニングポイントだった」と気づいたのは、ずっとずっとあとになってからのことでした。
今思えば、不思議なほど、必要なときに、必要な人と出逢っているのです。
出逢いとは、偶然のようでいて、その人に相応しい人が、求めているタイミングで引き寄せられてくるもの。それは、外的な要因だけではなく、私たちの内側にあるこころの状態や、能力やエネルギーのようなものがそうさせていて、きっと「その人にしか訪れない出逢い」を生み出しているのです。
だから、どんな出逢いに対しても、「これが私です」といえる状態を準備していたいと思うのです。

出逢いは、その時点では、〝ちいさな種〟のようなものです。
その種を大切にしていくことで、あとでひょっこり大きな実をつけ、大輪の花を咲かせることがあります。
私たちは、一生のなかで多くの出逢いを繰り返していますが、その〝ちいさな種〟を見逃してしまうか、「かけがえのない機会だ」と思うかで、その後の展開は、まったく変わってくるはずです。
もし、イライラしていたり、クヨクヨしていたりして、心に余裕がない状態では、〝ちいさな種〟には、気づかなくなってしまうでしょう。だから、いつもご機嫌なキモチで、ひとつひとつの出逢いを歓迎したい。
ほんとうに大切だと感じる人との縁をつなげていきたい。
もう会えないことになっても、心のどこかになにかを残していたい。
こころを清潔な状態に整えていれば、このようにとても多くのことに気づくはずなのです。

出逢いとは、これまで馴染みのなかった考え方や行動に触れることであり、とんでもない化学変化を起こすことがあります。

出逢いによって、人は、なにかを生み、なにかを残します。
出逢いによって、人は、思わぬ能力が引き出されます。

そして、出逢いによって、人生は思わぬ方向に展開していきます。
自分で「変わろう!」「がんばろう!」と力まなくても、ひとつひとつの出逢いに感謝し、大切にしていれば、不思議と自然に変わり、求めている場所に連れていってもらえるのです。



著者プロフィール

有川真由美(ありかわ・まゆみ)

作家・写真家。鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程卒業。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリーカメラマン、新聞社広告局編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性のアドバイザー的な存在として書籍や雑誌などに執筆。40カ国を旅し、旅エッセイやドキュメンタリーも手がける。
[有川真由美ブログ]Daily Journey

この著者の本