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明日をHAPPYにするコトバ

【第3回】落ち込んで前に進めなくなっているとき

つまずいたときは、落ち込んでもいいし、泣いてもいい。
大切なのは、できるだけ早く立ち上がって笑顔になること。


ときどき、うっかり「失意のどん底」という事態に落っこちることがあります。
しかし、いつの間にかケロリと忘れているようです。
「立ち直りが速い」というのは、私のちょっとした得意技かもしれません。
負けず嫌いとか、すごくポジティブとか、そういうわけではなく、おそらく「悲しむ」ということに疲れてしまうのです。
悲しむことは、結構、体力を要します。
とくに、激しく泣いたり怒ったりしていたら、なおさらです。
どれほど落ち込むことがあったとしても、1日24時間、何日も悲しみ続けることは不可能でしょう。悲しむのに疲れたころ、前に進もうとする力が自然にわいてきます。
ふと「さてと。どうしますか」と。

瞬発的な“心の傷”というのは、かすり傷のようなもので、存在することも忘れて放置しておけば、いつの間にか消えているのではないでしょうか。
とくに、前に進もうとする生命力が強ければ、傷の治りは早いものです。
ところが、いつまでも傷口を突き、時には、かさ蓋をぱかっと剥がしたりして、なかなか傷が治らない人もいます。
「アイツのこと、絶対、許さない」などと何年も引きずっていたら、小さな傷を自分でだんだん大きくしてしまったようなものです。
また、傷がうずいているのに手当をしていないために、悪化してしまうこともあります。

先日、ある友人が心の傷のちょっとした治し方を教えてくれました。
働くママである友人は、保育園の迎えがあるため、いつも定時で帰宅することに、負い目を感じていました。そんなある日、同僚から「子どもを理由にすれば、何でも許されますよね」と、きつーい嫌味。
その瞬間、自分でもびっくりするほど、涙がどどーっとあふれて止まらなくなってしまったとか。
カウンセラー経験のある友人は、その時、こんな手段で自分を癒したのです。
まず、傷つけた〝相手〟ではなく、傷ついた〝自分〟だけに意識を向けます。
そして、おまじないのように、自分に優しく声をかけるのです。
「かわいそうに。あなたも精一杯がんばっているのに、誰にもわかってもらえないのが悲しいのよね。好きなだけ泣いてもいいのよ」とかなんとか。
「どうして悲しいのか?」という理由がはっきりすると、自分が客観的に見えて、だんだん落ち着いてきます。落ち着いてくると、「じゃあ、これからどうする?」と解決策にも取り組めます。
いちばんこころの傷の治りが悪いのは、「人のせい」にすること。
これだと、傷はなかなか癒えることはありませんし、解決することもできません。
自分の傷を癒すことだけに集中すれば、いつか必ず治るのです。
「つまずいても、いずれ立ち直ることができる」と思っていれば、何かに挑戦するのも、恋に突き進むのも、人間関係のなかに飛び込んでいくのも、さほど怖くないでしょう。
自分の感情は、自分自身で選んでいるのです。
目標は、幼い子どものように、「泣いた烏がもう笑った」という立ち直りの速さ。
「これはこれでよかった」という学びをひとつだけ記憶して、自分を傷つける記憶はどんどん忘れていきましょう。
仕事で落ち込むことがあっても、人間関係で嫌なことがあっても、一晩は凹むことを許しましょう。
そして、翌朝は少々、丁寧にお化粧をして、ケロリと笑顔になって出勤するのです。
傷つけた相手にも、「おはよう!」と微笑んでみようではありませんか。
そんな人は、不思議なほど、いいことが起こるものです。



著者プロフィール

有川真由美(ありかわ・まゆみ)

作家・写真家。鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程卒業。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリーカメラマン、新聞社広告局編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性のアドバイザー的な存在として書籍や雑誌などに執筆。40カ国を旅し、旅エッセイやドキュメンタリーも手がける。
[有川真由美ブログ]Daily Journey

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