僕たちの心の中には、知らず知らずのうちに自分でつくりあげた“大前提”があります。

たとえば、「自分は女だ」と思ってこれまで生きてきたら、これからも当然、女として生きていく未来があります。とっても当たり前ですね。
それと同じように、「どうせ、自分は嫌われる」と思っている大前提で生きてきたら、嫌われ続ける未来があるのです。
「どうせ、自分はうまくいかない」という大前提を生きてきたら、この先も絶対にうまくいきません。というより「うまくいっていてもうまくいっているように思えない」のです。
この「どうせ」を、ぜひともひっくり返してもらいたいと思うのです。

これは別の言い方をすれば、自分の「すね」をやめるということ。
すね・いじけ・強がり・あきらめ・ダメグセ・できないグセ。
これらを潔く手放して、片づけて、終わらせましょう。
この大前提を、いざというときの“逃げ道”にしている人が結構います。もしも何かがうまくいかなかったときに、「どうせ、私はこうだもん」と言ってしまえたら、それでとりあえず自分のことを守れる気がするかもしれません。
けれど、そんな心の習慣がある限り、人生は変わらないのです。

◎“知識や常識”で、自分を守り固めてないか？

僕はゴルフを始めて７～８年になりますが、なかなか上達しませんでした。
その理由はやっぱり、ずっと「どうせ……」という根っこを持っていたから。
僕は僕なりに、本を読んだり、テレビやビデオを見たりして、「こうすればうまく打てるらしいぞ」というコツをちょこちょこと集めて、変な“知識の城”みたいなものを自分の中につくりあげていました。
なのに、それにもとづいて構えて打つほど、変な方向にボールが飛んでいってしまうという感じです。

僕は、プロゴルファーの友人と一緒にコースを回る機会があります。その彼が「こうしたらいいよ」と、いろいろとアドバイスしてくれます。
僕の体を押さえたりして、実際の動かし方を教えてもくれました。けれど、そのときに教えてくれたスタイルは、僕が自分では今まで“やってはいけない”と思っていた形だったのです。

そのアドバイスとは、「野球でバットを振るときみたいに、意識的に振ったほうがいい」ということ。
せっかく「こうするといいよ」と教えてもらっているのに、僕は「どうせそれではダメだろう、うまくいかないだろう。ゴルフと野球は違うだろう」と思っていました。自作の“知識の城”にこだわって、どこかで抵抗し続けていました。

それをある日、「もういいや！　言うことを聞こう」と思ったのです。
今まで「“野球打ち”だけは絶対にしないようにしよう」と思っていたけれど、一度そのこだわりを捨てて、相手を信用して、その通りに振ってみたら――。
……気持ちいいほど、スカッとボールが飛ぶようになったのです。

◎“いつものパターン”を崩すと、人生が音をたてて変わる！

僕は著書やセミナーの中で、「世間で『いい』『正しい』と言われていることの逆をやりましょう」とたびたび言っています。
すると、素直に「そうか」と言って実行してくれる人もいますが、「うん、わかった」と言いながらやらない人もいっぱいいます。
「わかったわかった、やるから、絶対やるから」と言って、結局やらない人もいっぱいいるのです。
どうしてやらないのかというと、「いや、自分は今まで、こうやってきたじゃないか」という“大前提”に、やっぱり引っ張られているのです。
そのせいでうまくいっていないのに、それがグッと強く引っ張ります。
そもそも、自分の人生を｢変えたい｣のに、自分の行動や考え方を「変えない」っておかしいですよね。
けれど、そこで“うまくいっている人”の言うことを信じて、違和感・抵抗感がある、気持ち悪～いほうに向かって潔く進んでみると、人生がガラリと変わります。

そんなほんのちょっとの勇気が、自分の“あり方”を180度ひっくり返すのです。
だから、「今までの逆を、やってみよう」。