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365日、おいしい、楽しい!「魔法のびん詰め」の手作り生活

第1回 『主役を引き立てる名脇役――わさびのチカラ』

 初めまして、フードコーディネーターのこてらみやです。
これから半年間、四季折々の「びん詰め」にまつわる話を連載していきます。
よろしくお願いします。

先日、オットと二人で伊豆の温泉にいってきました。
源泉掛け流しのお風呂に、好きな時に浸かってはゴロゴロする極楽旅でした。

くいしん坊の私にとっては、その土地で獲れた旬のものをいただくことは、いちばんの旅の楽しみです。

お宿で出された鯛のお造りのおいしかったこと。
そして、お昼に入ったそば屋さんのせいろも、帰りに寄ったうなぎ屋さんの白焼きも、どれもこれも感動の味でした。
いま思い返すだけでも、ヨダレが出てきます。

主役の鯛やおそばやうなぎが上等だったのはいうまでもありませんが、
忘れてはならないのが、それを引き立てて、さらに極上の味へと変えてくれる脇役の“わさび”の存在でした。

口に含むとふわっと香って、ツーンと鼻の奥に響き、そして、あとからほのかな甘みが追いかけてくる。
ただ辛いだけのチューブわさびとは、ひと味もふた味も違う味わいなのです。

伊豆といえば長野と並ぶ日本有数のわさびの産地です。

お宿でお造りをいただいた時は、そのキリッとした名脇役ぶりに、オットと顔を見合わせて、「さすが、わさびの国だね~!」と、唸ってしまうほどでした。

道の駅ではおろしたてのわさびが添えられた“わさびアイス”を食べ、わさび田に隣接する売店では、地元のおばさんにおいしいわさびの見分け方を教わって、立派なわさびを3本も買ってきました。

英気をたっぷり養って、さっそく、伊豆のおいしいわさびを使って、「贅沢わさび漬け」を仕込みました。市販品より酒粕の量を少なく、そしてわさびの茎より根の部分を多くしてちょっと贅沢に仕上げました。
焼き海苔でくるりと巻いてお酒のあてに、また、卵かけごはんに添えたり、ステーキに添えてもおいしいですよ。

ぜひ、お試しください。
《材料》
根わさび(茎がついたもの)・・・100g
<A>
塩・・・小さじ1/2
<B>
酒粕・・・60g
日本酒・・・大さじ2
みりん・・・大さじ1
塩・・・小さじ1/2
砂糖・・・小さじ1
《作り方》
1根についている茎を切り取り、3mmの小口切りに、根を1mmの薄切りにしてからせん切りにする。

21と<A>を丈夫なビニール袋に入れて空気を抜き、袋の上からしっかり揉んで冷蔵庫でひと晩寝かせる。

3<B>の材料をすり鉢に入れ、1時間ほど置いて酒粕をふやかす。すりこ木ですってペースト状にする。

4ひと晩寝かせた2をさらしなどで包んでぎゅっと絞り水気を切る。3と手早く混ぜ合わせ、塩、甘みが欲しければ砂糖を加えて味を調える。小さめのびんに詰め、表面をラップで覆ってなるべく空気に触れないようにする。冷蔵庫で2~3日寝かせて味がなじんだら食べごろ。

<ポイント>
*2でしっかり揉んで、わさびのアクを出し、細胞を壊すことで辛味成分をひきだします。4での作業は手早くして、なるべく空気に触れる時間を短くし、わさびの辛み成分を揮発させないようにしましょう。
*このレシピでは、少し柔らかめのバラ粕を使っています。しっかりと押し固められた板粕を使う場合は細かく刻んでから、日本酒とみりんの分量を増やしてペースト状にします。ペースト状の酒粕を使う場合は、塩と砂糖だけで調味します。

*日本酒とみりんを煮切ってから入れるとまろやかな仕上がりになります。

著者プロフィール

こてらみや(こてらみや)

フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。

こてらみやのブログ〈オサルノビタミン〉
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