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365日、おいしい、楽しい!「魔法のびん詰め」の手作り生活

第2回 『「エシャレット」の正体は、早採りの「らっきょう」!?』

 ほんの少しでいいから、自分で作った野菜が食べられたらな……と、5年ほど前からはじめたわが家のベランダ菜園。ブルーベリーやビワなどの果樹をはじめ、普段のごはんに使えるイタリアンパセリやミント、ローズマリーといったハーブ数種と野菜を、その年の気分にあわせて育てています。

つい先日もお天気がよかったので、苗の植えつけをしたり、ベビーリーフの種をまいて古い鉢の整理をしてと、一日中ベランダ仕事をしていました。
そろそろ終わりにしようかなと思った時、細長い緑色の葉がわさわさと茂った鉢が目に入りました。
何かの球根を植えた記憶はあるんだけれど、オットも私も冬の間にすっかり忘れてしまっていました。

どれどれと土を掘り返してみると、白くて細長い鱗茎(りんけい)がびっしり。
「これ、エシャレットじゃない?」とオット。
そういえば、昨年、オットが球根を買ってきて植えつけていたような……。
それにしても、肥料も与えず、ほうったらかしにしていたのに、ちゃんと育っているのにはびっくりでした。
そして、驚いたことがもうひとつありました。
調べてみると……なんと、エシャレットとは、生食できるように早採りした「らっきょう」のことだというのです。いわれてみれば形は、らっきょうとほぼ同じ……。オシャレな名前にすっかり騙されていましたが、みなさんはご存知でしたか?
収穫時期は、3~5月頃となっていたので、さっそく堀り出しました。

2鉢あったので目の前には2人では食べきれないほどの大量のエシャレット。
さて、どうやっていただきましょうか?

エシャレットは、生のまんまか、お味噌やマヨネーズをつけていただくのがおなじみの食べ方ですが、そう一度にたくさんは食べられません。そこで考えたのが、塩漬け。エシャレット=らっきょうなんだから、らっきょう同様に塩漬けにしておけば、ぐーんと保存が利きます。薄皮を剥く手間はかかりますが、作り方はとっても簡単です。

塩漬け後は、削り節とさっと和えてお酒のあてに、また、豚肉とさっと炒めてもおいしいですし、薄い輪切りにしたものを、今が旬の初がつおのたたきの薬味として使うのもおすすめです。塩漬けしてから甘酢に漬けこんでもおいしいですよ。

新鮮でお買い得のエシャレットや、これから出盛りになるらっきょうを見つけたら、ぜひお試しください。
《材料》
エシャレット または らっきょう(泥を落して)300g
<A>
粗塩 大さじ2 水400cc

《作り方》
1 エシャレットは、ボウルに入れて流水でもみ洗いして泥を洗い流す。薄皮をむき、根を根元ギリギリのところで切り落とし、茎も長めに残して切り落とす。(切りすぎると、塩水が染み込みすぎて柔らかくなってしまうため)

2 煮沸消毒した清潔なびんに、水気をふき取ったエシャレットを入れる。

3 <A>を鍋に入れて火にかけ、塩を溶かす。

4 2に3が熱いうちに注ぎ入れ、完全に冷めたら軽くふたをして常温で3日間くらい置き、その後は冷蔵庫に入れて保存する。

<ポイント>
*常温で置いていると、細かい泡が出て、エシャレットやらっきょう独特の強烈な香りが充満しますが、乳酸発酵がはじまった証拠なので問題ありません。ただ、水が濁ってきたり、腐敗臭がするようであれば細菌が入ってしまった可能性があるので、残念ですが破棄してください。

*塩水の表面からエシャレットが飛び出すと、そこからカビが生えることがあるので、ラップなどで表面を覆うか塩水の量を増やしてください。

*塩辛いようであれば、水にさらして塩抜きしてから召しあがってください。

* 下処理の時に切り落とした茎の部分をみじん切りにして醤油につけておくと、おいしい薬味醤油になります。

著者プロフィール

こてらみや(こてらみや)

フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。

こてらみやのブログ〈オサルノビタミン〉
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