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マンスリーエッセイ

境野勝悟 今月のほっとする言葉

第6回「沈黙」が伝える思いもある

不立文字は、禅宗で、もっとも名高い言葉です。
ダルマ(530年ころの人)さんの言葉といわれています。

人間のほんとうの気持ちは、言葉によっては、なかなか相手に伝えられない、ということです。言葉だけでは、ダメですよ……。

ふだんは、けっこう気楽に話せても、いざ自分の思っていることを正確に相手に伝えようとすると、なかなか、適当な言葉が見つからないことがあります。
そんなときは、恥ずかしそうに、うつむいて黙っていればいいのです。
「こんなに黙っていたら、相手にどう思われるか」
「嫌われてしまったら、どうしよう」
などと、気にしなくていいのです。

あなた自身が、あなた自身で、自分には発言力がないとか、言語表現が不得手だとか、勝手に思っているばかりなのかもしれません。
あなたのまわりには、うまくペラペラしゃべる人が好きな人もいるし、言葉を失って、ほほを赤らめる人が好きな人もいるのです。

今日では、言語によって言いあらわす人だけが、才能のある人のように言われています。が、とんでもない間違いなのです。
一言も語らずとも、あなたにキラキラ輝くやさしい目でじっと見つめられ、美しくにっこり微笑されたら、相手はあなたの愛を感じ取るはずです。

不立文字
(ふりゅうもんじ)

無門関
(むもんかん)

著者プロフィール

境野勝悟
一九三二年、横浜生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒。私立栄光学園で十八年教鞭をとる。在職中、参禅、茶道を専修するかたわら、イギリス、 フランス、ドイツなど西欧諸国の教育事情を視察、わが国の教育との比較研究を重ねる。一九七三年、神奈川県大磯にこころの塾「道塾」を開設。一九七五年、 駒沢大学大学院・禅学特殊研究科博士課程修了。講演でも活躍。経営者、ビジネスマンから主婦層に至るまで幅広く人気がある。

著者詳細

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